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今回は、住宅ローンにかかる諸費用についてご紹介させて頂きます。
住宅を購入する際に多くの方が利用するのが住宅ローンです。住宅ローンを組むにも費用がかかります。その費用を知っているだけでも住宅購入にかかる費用の全体像が見えてくるので知っておきましょう。
そもそも住宅購入は人生の中で一番高い買い物ではないでしょうか?
大きな買い物だからこそ失敗や損したくないですよね??
諸費用の事を考えないで住宅購入を進めていくと、思っていたよりも高くなってしまったなんてこともあります。
この記事では住宅ローンの諸費用について解説しているので、今後住宅購入を検討している方や現在購入進めている方にご参考になると思います。
では見ていきましょう。
1.住宅ローンの仕組みについて
住宅ローンとは?
住宅ローンは、新規で住宅の購入や改築(リフォーム)を行うために金融機関から借りるお金のことを言います。
現金で購入できてしまえばいいのですが、難しいので住宅ローンを活用します。ローンは金融機関の借金なので元金に対して利息が発生するので、利息分も返済していくようになるのが一般的です。住宅ローンは利息分も考えて組むことをオススメします。
住宅を購入または改築してローンが始まり新居に住めるまでには様々な「諸費用」も負担しなければなりません。
2.住宅ローンでかかる諸費用とは?
住宅購入等を行う際に負担する金額は住宅ローンの元金や利息だけではありません。
その他に「諸費用」が発生しますので、1つ1つ確認していきましょう。
「融資手数料」
融資手数料とは、住宅ローンを借り入れる際に金融機関に対して支払う手数料のことを言います。融資手数料は一般的には3万円~5万円の場合が多いようですが、金融機関によっては借入時の金利を下げる条件で「融資額の2%」などで60万~80万を手数料として支払う選択ができるものもあります。
「ローン保証料」
ローン保証料は金融機関より借入れを行う際に、保証会社に保証人となってもらうための費用のことをいいます。不測の事態などで契約者がローンを支払えなくなった場合には、保証会社がローン会社へ弁済を行う為の仕組みに対する費用になります。支払い方法は金融機関によって異なりますが、返済期間や融資額によって金額が決まり、支払い方は金利に上乗せしたり、一括で支払う方法が一般的とされています。融資額1000万円に対しておおよそ20~30万かかるとされていて、住宅ローン諸費用の中でも最も高い諸費用とされています。
「印紙代」
住宅ローンに関する金銭消費貸借契約書は課税文書の一つになるので、契約金額に応じた収入印紙を貼って割印し、印紙税を支払います。宅地や土地を購入するための「売買契約書」「建築請負契約書」にも金額に応じた収入印紙を貼らなければいけませんので覚えておきましょう。また印紙を貼らなかったり、貼るのを忘れてしまった場合は過怠金を支払うことになってしまうので、必ず確認をしましょう。
ここで住宅ローンに関連して金銭消費貸借契約、宅地売買契約、建築請負契約の契約金額ごとにいくらの印紙が必要なのかまとめてみました。
文書の種類 | 記載された契約金額 | 印紙税額 |
金銭消費貸借契約書
不動産売買契約書 建築請負契約書 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円. | |
10万円超50万円以下 | 400円 | |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | |
500万円超1000万円以下 | 10,000円 | |
1000万円超5000万円以下 | 20,000円 | |
5000万円超1億円以下 | 60,000円 | |
1億円超5億円以下 | 100,000円 |
(引用元:https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-1409/)
「仲介手数料」
仲介手数料とは、不動産物件を購入するときに、物件を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料のことで、宅地建物取引業法によって上限が決められています。
取引額(税抜) | 手数料 |
200万円以下の部分 | 5%以内 + 消費税 |
200万円超~400万円以下の部分 | 4%以内 + 消費税 |
400万円超 | 3%以内 + 消費税 |
(引用元:https://ieul.jp/column/articles/22/)
仲介手数料の式
仲介手数料 = (売買価格(税抜き) × 3% + 6万円)× 消費税
例えば2000万円の土地を不動産会社を通して購入した場合、[2,000万円×0.03+6万円]×1.1 = 726,000円が仲介手数料となります。
不動産を購入する際に、不動産会社を通して購入する場合は仲介手数料はかかりますが不動産のオーナーから購入する場合は、仲介業者が入らないので手数料は過からなのが一般です。仲介手数料が不要な物件の見つけることが費用を抑える方法ではありますが、高額で複雑な権利が絡むことが多い不動産売買において仲介業者を挟まないで私的な取引は後にトラブルに巻き込まれる場合があるので注意が必要です。
「火災保険」
火災保険とは、損害保険の一種で火災や落雷、風水害などの災害からの損害から建物や家財を補償する保険のことをいいます。住宅ローンを借りる際は火災保険に入っていることなどが条件になっています。火災保険でいう建物とは本体と付帯する門、塀、物置のことをいい、家財とは家具、テレビ、冷蔵庫、洋服などをいいます。保険対象については建物のみ、家財のみ、建物と家財の3つから選択します。近年の自然災害によって建物に損害が与えられる被害や近隣の住宅火災に巻き込まれてしまうリスクがあるので家財や建物にまで保険が適用されるものをオススメします。また戸建てであれば木造の家より軽量鉄骨造りの家の方が保険料が安くなる場合があるのでチェックしてみてください。
「登録免許税」
住宅を購入する際に、土地や建物に対して購入した人の所有権を法務局の登記簿に記録して公示する手続きが必要になります。この手続きを行うときに国に払う税金を登録免許税といいます。税額は土地や建物の評価額(固定資産税評価額)に税率をかけて計算します。また登録免許税は住宅ローンを借りるときにも課税されます。
登記の種類 | 登録免許税の税率 |
所有権移転登記(土地) | 評価額×2.0% |
住宅用家屋所有権保存登記(新築物件) | 評価額×0.4% |
住宅用家屋所有移転登記(中古建物) | 評価額×2.0% |
抵当権設定登記(住宅ローン借り入れ) | 借入額(債権額)×0.4% |
(引用元:https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00128/)
住宅を購入するときは登録免許税の軽減措置が受けられます。例えば、建物に関して登記簿上の床面積が50㎡以上であれば新築建物の所有権移転登記は0.15%、中古建物の所有権移転登記0.3%にそれぞれ軽減されます。
「不動産取得税」
不動産取得税は、新しく家や土地を売買や贈与したときに一度だけ課税される地方税です。納税額は取得した不動産の価格と取得した時期の標準税率に応じて算出され、土地や家屋の不動産取得税は「固定資産税評価額×標準税率」で算出されます。
不動産取得税は軽減措置があり、新築住宅と中古住宅で措置内容が異なります。
「新築住宅の軽減措置を適用する要件」
新築建物(増改築含む) | 土地 | |
控除内容 | 固定資産税評価額から1200万円の控除
※ 認定長期優良住宅は1,300万円 |
いずれか高い金額を適用
① 4万5000円 ② 土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2×住宅の床面積の2倍(200㎡が上限)×3% ※ 1/2、税率3%は2021年3月31日までの適用 |
税額計算 | 不動産取得税=(固定資産税評価額-1,200万円)×3%
※ 税率3%は2021年3月21日まで適用 |
不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2)×3%-控除額
※ 1/2、税率3%は2021年3月31日までの適用。 |
軽減要件 | 住宅全般に適用
課税床面積が50㎡以上240㎡以下 ※ 一戸建て以外の賃貸住宅は40㎡以上240㎡以下 |
建物の軽減の要件を満たす。
土地を先行して取得した場合、取得から3年以内(2020年3月31日までの特例)に建物を新築すること
|
(引用元:https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00229/)
「登記費用」
登記費用は、不動産を売る時にかかる抵当権抹消のための登記費用と不動産を買うときの所有権移転のための登記費用があります。登記簿には所有権や抵当権の情報や建物の立地、構造や面積などの情報が記載され、登記が完了すればその物件が自分のものである証明となります。費用は主に登記を行ってくれる司法書士に支払う報酬と登記手続きにかかる登録免許税になります。
「固定資産税」
固定資産税とは、毎年1月1日時点で住宅やマンション、土地などの不動産を所有する者は支払わなければいけない税金のことです。固定資産税は対象の不動産において固定資産課税台帳に登録されている人に支払い義務が生じます。支払い方法は年4回の分割払いが一般的な払い方になりますが、市区町村によって一括払いが選択できる場合があります。コンビニやペイジー、クレジットカードや口座振替の自動引き落としなどの支払い方に対応しています。固定資産税額の決定は固定資産税評価基準に基づき評価員が行い、市区町村で決定されます。新築やリフォームの住宅は入居後3ヶ月以内に家屋調査の連絡が来ますので、立ち合いが必要になります。この調査をもとに固定資産税が決まりますので、固定資産税を少しでも安くするために固定資産税の相場や軽減措置が適用なるかなど、事前に建築した工務店やハウスメーカーに確認しましょう。
「消費税」
新築戸建ての場合、土地購入について消費税は非課税の為かかりませんが、建物部分について消費税はかかります。2019年10月1日から消費税率が10%になりました。2,000万円の住宅を購入した場合、消費税8%のときは160万円だったものが、消費税10%で200万円となり40万円も多く消費税を支払わなくてはいけません。増税後に住宅購入を進めていくのであれば、以下の軽減措置を活用していきましょう。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
住宅借入金等特別控除は、住宅ローンを借りて住宅の購入や新築・リフォームをすると、所得税が10年間一定額が控除される制度になります。2020年12月31日までに入居が可能ならば、さらに3年延長され最大で13年間の控除が受けられます。
住宅ローン控除を受ける場合に一度だけ住宅購入者自らが確定申告を行う必要があります。期間は住宅購入の翌年の1月1日~3月15日までに済ましてください。次年度以降は金融機関より送付される借入残高の証明書を会社に提出して行ってもらいましょう。申請方法は電子申請も可能ですが、初めて自分で確定申告を行う場合はお住まいの管轄の税務署に行って直接手続きをすることをオススメします。
すまい給付金
一定以下の年収の人が住宅を購入する場合、収入に応じて給付が受けられる制度です。すまい給付金の金額は増税前最大30万円から増税後最大50万円まで拡充されました。2021年3月31日までに入居することが条件になります。
申請書類等に工事書類や不動産売買契約書類、住宅性能などに関する書類が必要になるので、工務店やハウスメーカーに事前に相談することをオススメします。
「団体信用生命保険料」
団体信用生命保険とは住宅ローンの契約者が死亡・高度障害状態になったときに残りのローン残高を肩代わりしてくれる住宅ローン専用の生命保険のことをいいます。
住宅ローンは何十年も長期に渡って返済していくものなので、ローン契約者に万が一のことが起きてしまった場合に備える役割をしています。住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」のような一部例外はありますが、住宅ローンを組むときに団体信用生命保険に加入することが条件になっていることが多いです。団体信用生命保険も種類があり、三大疾病や八大疾病に対応したものもあるので、ライフスタイルに合わせたプランで選択しましょう。保険料については、ローン金利に含まれている場合や上乗せする場合が一般的です。
民間の生命保険に加入されている方は団体信用生命保険の内容が重複してしまうことが多くあるので、住宅購入時に現状の生命保険の内容を見直すタイミングになります。また就業不能保険に加入することもオススメです。団体信用生命保険は死亡か高度障害になってしまった場合しか補償されないので、長期に渡って就業できない状態になってしまった場合に備えることもオススメします。
3.諸費用の目安について
住宅ローンに関する諸費用の目安については、物件購入価格(土地と建物の購入金額)の5%~10%程度と言われていますので諸費用の目安の参考にしてください。諸費用の中で節約できる部分は軽減措置の適用などを活用して減額していきましょう。ということで諸費用についての目安をまとめてみました。
・融資手数料
融資手数料は平均で3万円~5万円。
・ローン保証料
借入額や返済期間によって金額は変わります。
融資額1,000万円につき、20万~30万ほどかかります。
・印紙代
契約金額ごとに印紙代が変わります。
購入した不動産が1,000万円~5,000万円で印紙代20,000円
・仲介手数料
不動産の価格によって手数料上限が異なります。
仲介手数料 = (売買価格(税抜き) × 手数料(%) + 6万円)× 消費税
住宅購入等の場合、不動産価格は200万円以上で手数料は3%で計算されます。
・火災保険
15万円~40万円が相場です。
・登録免許税
土地と建物の評価額によって異なります。
評価額 × 税率(0.2~0.4%)で計算されます。
軽減措置の適用があります。
・不動産取得税
新たに土地や家屋を売買・贈与した際に一度だけ課税されます。
土地と家屋に対して「固定資産税評価額×標準税率」で税額が算出されます。
軽減措置の適用があります。
・登記費用
所有権移転登記で約3万円~7万円
抵当権設定登記で約2万円~7万円
住宅ローンの設定がある場合は10万円前後になります。
・固定資産税
建物や土地価格、市区町村の扱い方によって税率が変わります。
一戸建てで平均10万~12万程度、マンションは8万~10万程度です。
・消費税
土地については非課税。建物に対して消費税がかかります。
・団体信用生命保険
金融機関の場合はほぼ強制加入で費用については金融機関が負担します。三大疾病・八大疾病のプランにする場合は金利に約0.3%程度上乗せします。住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」については任意加入になっています。
戸建てとマンションの諸費用についての違い(新築と中古でも考える)
戸建てとマンションの住宅種別ごとに諸費用の目安を見てみましょう。
住宅購入にかかる諸費用の目安
注文住宅・・・物件価格の3~6%前後
新築一戸建て(建売住宅)・・・物件価格の6~9%前後
中古一戸建て・・・物件価格の6~9%前後
新築マンション・・・物件価格の3~6%前後
中古マンション・・・物件価格の6~9%前後
中古の戸建てとマンションが新築に比べて3%以上の違いがみられますが、それは不動産会社が仲介して物件選びをしているのでその分の仲介手数料等が影響しています。また住宅購入時の諸費用についてまとめたので住宅種別ごとの諸費用一覧を見てください。
住宅種別ごとの諸費用について
費用がかかる場合=〇 かからない場合もある=△
注文住宅 | 建売住宅 | 中古一戸建て | 新築マンション | 中古マンション | |
印紙税 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
不動産取得税 | △ | △ | △ | △ | △ |
登録免許税 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
登記費用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
固定資産税清算 | △ | 〇 | 〇 | △ | 〇 |
修繕積立基金 | なし | なし | なし | 〇 | なし |
仲介手数料 | なし | △ | 〇 | なし | 〇 |
融資手数料 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ローン保証料 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
火災保険料 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
(引用元:https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00293/#table_of_content_19)
新築物件の固定資産税については、年度途中で購入した分日割り計算で清算する場合があります。この場合は売主や不動産会社とよく話合って清算方法を決めてください。
また建売住宅は不動産会社が仲介をする場合が多いので、仲介手数料がかかる場合があります。
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